-霊力士- 斎 いつき
斎−itsuki− コラム
久しぶりの更新です。お待たせ致しました。
前回までと、少々趣旨を違えた内容になりました。
漫画読者様には必見。
漫画裏話を1話 づつお話ししていきます。本誌を途中からお読みの方は、単行本「 怨念旅館 」( 小林 薫 著 )を是非、お手元に。

【裏話 第1話 】 孤独な落ち武者編 - (1) 序章
読み返すとなんとも懐かしい一件である。この頃、実はまだ藤原のモデルになったAとは懇意にしていなかった。
この話の藤原の立場に居たのは、斎の友人Bだった。ストーリー展開上とページの都合上、小林先生の機転により、やられキャラ藤原が誕生したのだ。
まあ、過去も現在もリアル藤原は存在し、リアルやられキャラであり、斎とのやり取りも漫画と同じ。小林先生の観察眼は、あなどれない。
恐るべし 小林 薫……。



【裏話 第1話 】 孤独な落ち武者編 - (2)
この日、友人Bの知り合いを霊視する予定でファミレスに行った。
ご存知の通り、本業はアパレル販売で、口コミ紹介の相談は受けていた。もちろん、お代は頂いていた。
バイトってやつだ。

友人Bの知り合い、Kさんの相談は極普通の人生相談。
結婚できるか、趣味を生かした転職が可能か、等々。
Kさんは少し邪心が強く、その為に雑魚霊がつきまとっていたので、祓って遠方に捨てた。
実はこの時、少々視づらく、天界に交信してたりしたのだ。そのせいか、チャンネルを開き過ぎていた。

気付くと、店内に居た浮遊霊達が周りを囲み始めていた。
めんどくさい。やたらに寄って来やがる。シカトするかな。
そう思った瞬間、店のドアが開いた。
ホール係のお姉さんが、いらっしゃいませーとドアに寄ったが、誰も居ない。あれ?と不思議な顔をしながらカウンターに戻る。

うーわー…よりによってオッチーだ。
めんどくさい。実にめんどくさい!
絶対に波動の元である斎を捜してる。
コレもシカトするかなー、そう思ったが、不運にも目がバッチリとあってしまった。


【裏話 第1話 】 孤独な落ち武者編 - (3)
だいたいが、オッチーはインネンつけて挑んでくる。
何百年も独りで徘徊し、寂しさでいっぱいなんだろうが、迷惑この上ない。
さみしんぼの、かまってちゃん なんか相手にしてられっか!なのだ。
しかし、オッチーにしてみれば、自分を認識した久しぶりの人間。
当たり前に近づいて来た。

右手には刀。
刃こぼれしたボロボロの刀。かつては赤い血だったのか、黒々とマダラに付いているシミに見えるモノ。
ざりっ…ざりっ…と刃先を床に引きずりながら、ゆっくりと、進んで来る。

斎と対面に居たKさんの背後に立った。友人Bが、鳥肌を立て、斎の顔を見る。…なんか居るよね?と。

もう仕方がない。
オッチーと睨みあった。

なんか用?あっち行ってくんないかな

何だと…?女子(おなご)の分際で武士になんたる口のききようか!
( オッチーのおとくいフレーズだよ)

不意に刀を振りかざしたので漫画の通りに止めた。
力技で動きを封じるわけだ。

刀を落とし泣き崩れてしまったオッチーはさすがに憐れで、話しを聞く事にし、友人Bの隣に座らせた。



【裏話 第1話 】 孤独な落ち武者編 - (4)
斎といる以上Bはこんな場面に慣れている。苦笑いしながらも、オッチーに緑茶をオーダーして、飲んで落ちついてね、などと慰めていた。
谷間が見える胸元の、ハデなピチピチTシャツを着たB。隣に座り、緑茶をすするボロボロのオッチー。いやもう、絵面的に変すぎ!笑える光景だろコレ!

よく見れば、指の何本かが途中から無かったり、耳も半分削げ落ちてたりで非常に痛々しい。顔や頭は、もはやそんなレベルじゃないわけで…

グズグズと、愚痴めいた話しをし始めた。内容は、やはり漫画の通りだ。

上がりたいなら、方法を教えるよ。
確実に上がれるけど、どうする?
そう言うとまた泣き出した。

本音は、上がりたいのだよね。
武士の誇りが、忠誠心が、それを弱さとして隠したいだけで。
誰だって、天界に還り、安穏と過ごしたいのだ。

オッチーに上がり方を教えた後に、考えた。
うーん、ウチに連れ帰るのはイヤだなぁ。既に10人が部屋に居るのよ、上がり待ちのお侍さんと、お姫様が。

てなわけで。
漫画でお馴染みの吾子に命じた。

友人Cの部屋に連れて行ってー!
( 当然、無断決行である。ふふふ )



【裏話 第1話 】 孤独な落ち武者編 - (5)
Kさんの霊視を終えて、その晩は深夜に帰宅し、眠った。
朝一番にケータイが鳴った。友人Cからだ。

起きたら部屋にオッチー居るんだけど!勝手にこっちに送ったでしょーっ!

ハイハイ、送りましたとも。アトはよろしくー。

このCは視えるし、ある程度の霊力はあるし、オッチーに関わるのは初めてではないのだ。なので、これ幸いという事で。
Cがオッチーにお茶をあげる事を、母親が知った。娘が視える事も知っているので、またか、と呟いた。

斎が言ってたけど、元々イケメンらしいよ?確かに、それっぽいよ?

あ、アンタじゃお茶マズイから、お母さんが毎日あげるわ!…どんなタイプなの?ジャニーズ系かしら?
以来、母親が毎日お茶をあげる係。たまに抹茶まで出していた。ブサイクじゃなくて良かったね、とつくづく思った。

このオッチーは、元の姿に戻るのが早かった。5日めには、ほぼ完璧な姿になっていた。
気付くと、勝手に家の中を歩いたりしているので、怒って定位置に座らせたと言っていた。オッチーにしてみれば、まだかまだか、と待ちきれなかったらしい。
7日め、待望の光の道が降りた。
涙を浮かべ、かたじけない、と一礼してオッチーは天界に還った。

サヨナラ、ヒガシに似たオッチー。言葉はオジさんぽいけど、まだ20歳位だったね。天界で安らいで過ごしておくれ。さようなら。
そんな送り言葉を呟きながら、天界に入った事を見届けた斎でした。



『落ち武者の霊』 第1回

心霊系番組では欠かせない定番といえば、落ち武者の霊ではないだろうか?
戦国の時代に生き、戦に敗れて命を落とし、無念の想いを抱えたまま上に上がることもできずにさまよい続ける。
ボサボサ頭の長髪ヘアで、血走った目に鬼の形相、歴戦の痕が生々しい鎧を身にまとい、青白い顔をして血を流しながら体中いたるところに矢を突き刺したあの姿……。
実際、落ち武者達はまさにテレビでよく見るあの姿そのままに存在している。
霊の多くは、普通の人間とほとんど見分けがつかず、かなりナチュラルに実社会に溶け込み、紛れ混んでいるというのに……。
その点、彼らの絵ヅラは、半端無い。
気を抜いてる時に、突然目の前に現れようものなら、かなりのインパクトに襲われることになる。
髪振り乱し……。矢が刺さり……。
しかも、てっぺんハゲてるし……。



『守護霊システム』 第1回

数ある霊と呼ばれる存在の中でも、一番身近な存在の霊と言えば、なんといっても守護霊じゃないかな。
自分にはどんな守護霊がついているのか、どんなふうに守ってくれているのかっていうのは、結構気になるところだと思う。
これは案外知られてなかったり誤解されてたりするんだけど、実は守護霊として背後にいる霊体は一人じゃない。
大体3人くらいから6人くらいまでの少人数で、血筋的には縁もゆかりもない赤の他人の霊体達。
よくある話で……「あなたの守護霊は、亡くなったお祖母さんですよ」だとか、「何代か前のご先祖様で、江戸時代の武士です」なんて耳にしたりするけど、あれは完全に間違ったお話なんだよね。
実は、身内の霊が守護霊になることは、守護霊システムとしてあり得ない。



『守護霊システム』 第2回
守護霊の選出というのはかなり合理的に構築されていて、新しい人間として産まれると決定した瞬間に、その人のための守護霊を霊体から数人を選んでチーム編成する。
赤ん坊の御霊は妊娠5ヶ月頃に母親のお腹の中の胎児へと送られ、出産までの期間は母親の守護霊チームによって守られている。
そして出産直後に赤ん坊のために編成された守護霊チームが送り出され、一生の付き合いが始まるのだ。
もちろん、全く関連性のない者を選ぶのには理由があって、そもそも誰かの守護霊となることは霊体にとっては自分自身の修行の一環なのである。
つまり、守護霊として赤の他人を守り切ることで、己の徳を上げることが目的であって、血や情によって身内を守る甘さ的なものとは全く違う。
完全に自分のために主人を守る事務的なSPでしかないのである。
なんだが厳しいようだけど、でもむしろこれが正しい守護霊のあり方なのだと私は思う。
そりゃあ、近親者がつくとどうしても甘やかしてしまうもの。親バカならぬ身内バカ。
モンスターペアレントなみの守護霊なんて、なんだかカナリ嫌じゃない?



『守護霊システム』 第3回
じゃあ、高名な霊能者さんなんかが「あなたの守護霊は、亡くなったお祖母さんですよ」といった身内説を主張するのは、どういうことのなの? ……って疑問が残ると思うけど、それにもちゃんとした理由がある。
実は、霊力の強い守護霊チームを視るには、視る方にもそれなりの力が必要になる。
つまり守護霊誤診の大半が、視る力が足りてなくて、側でただよってるただの身内の浮遊霊を守護霊だと勘違いしてしまってるということが原因だったりするわけだ。
中には、「身内ですよ〜」って言った方が、相談者さんが安心するからって人もいるかもしれないけど……。
でもまぁ確かに、「あなたは赤の他人集団に守られてます」というより、「身内に守られてますよ」って方が、気持ち的には嬉しいはずだよね。



『守護霊システム』 第4回
最後に、守護霊は大体3人から6人くらいのチーム編成って言ったけど……。
2人以下ってのは、めったにない。
最低でも3人は必ずいると思っていい。
でもたまに……ごくたまにだけど、そういう人を視てしまった時、私はなんとも言えない気持ちになる。
だって2人以下の人間は……。カナリ危険な状況だから……。